(2018年版)アパレルECの大手12社におけるEC売上およびEC化率

2018年5月にZOZOTOWNが、楽天の時価増額を抜くというインタネット史に残るイベントがありました。

そこで現在のアパレルECの状況を把握するために、決算情報から読み解く、大手アパレル企業12社の「EC売上」および「EC化率」を調べてみました。

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アパレルEC 大手12社のEC化率について

アパレルEC化率

上記がアパレルECの大手12社のEC化率になっている。「ユニクロ」「ベルメゾン」「ニッセン」「青山」は半期決算から数値を取ったので、単純に2倍にして通年の流通金額に仮置きで記載している。

やはり、ZOZOTOWNのEC売上が際立って高いことと、ここからは読み取れないがZOZOTOWNの流通金額は「前年対比127%」で推移をしていることから。当たり前だが「リアル→WEB」の流れは崩れない。その流れを、メーカーや他モールがどれだけ乗れるかが、今後EC化率を高める上で鍵となっている。

ここからはそれぞれの企業別に紹介していきます。

アパレルEC「オンラインモール型」のEC売上およびEC化率

2018年版 ZOZOTOWNのEC売上およびEC化率

ZOZOTOWN

ZOZOTOWNについて
運営会社 株式会社スタートトゥデイ
所在地 千葉県千葉市美浜区中瀬2-6-1WBGマリブウエスト15F
資本金 1,359,903千円
代表取締役 前澤 友作

※参考にした決算資料「株式会社スタートトゥデイ 2018年3月 決算資料」
https://image-contents.s3.amazonaws.com/wp/wp-content/uploads/2018/05/20180427_2018Q4_J_N.pdf

2018年版 マガシークのEC売上およびEC化率

マガシークについて
運営会社 マガシーク株式会社
所在地 東京都千代田区三番町3-8 泉館三番町ビル3階
資本金 1,156,618千円
代表取締役 井上 直也

※参考にした決算資料「マガシーク株式会社 平成25年3月期 本決算説明資料」
http://www.magaseek.co.jp/pdf/news/1054529.pdf

2018年版 BUYMAのEC売上およびEC化率

BUYMAについて
運営会社 株式会社エニグモ
所在地 東京都港区赤坂8-1-22 NMF青山一丁目ビル 6階
資本金 3億8,190万円
代表取締役 須田 将啓

※参考にした決算資料「決算説明会資料 2018年1月期 通期」
http://www.enigmo.co.jp/wp-content/uploads/2018/03/ir_20180315_3.pdf

2018年版 SHOPLISTのEC売上およびEC化率

SHOPLIST

SHOPLISTについて
運営会社 クルーズ株式会社
所在地 東京都港区六本木六丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー
資本金 4億4,148万円
代表取締役 小渕 宏二

※参考にした決算資料「決算説明会資料 2018年1月期 通期」
https://crooz.co.jp/wp-content/uploads/2018/05/67a1a00922f2084773abe7c498348e3e-1.pdf
https://crooz.co.jp/wp-content/uploads/2018/05/ad103d0cfdb82dde5d11a6e2aea01c44-1.pdf


※客単価は「年間購入数」より算出。

下記まとめると
・ZOZOTOWNがEC売上が桁違いの1強

・ZOZOTOWNの売上総利益率も高く優秀。

・SHOPLISTの客単価がZOZOTOWNの半分以下近い。

オンラインモールは当たり前ですが、オンライン以外での流通販路がないため、EC化率は100%となります。(笑)加えてEC売上に関しては、やはりZOZOTOWN が桁違いの一強です。

その他では売上総利益率にモールでも若干の違いがあり、ZOZOTOWNとマガシークを比較しても利益率においてもZOZOTOWNは優位性がありますね。エニグモさんのBUYMAはビジネスモデル的に少しモールと離れてしまうため、少し比較対象としてはダメそうです。

また客単価に関してZOZOTOWNとSHOPLISTを比較すると、やはりSHOPLISTは若年層をターゲットにしていることから、客単価が低くZOZOTONWの半分近いですね。こうなると購入頻度を高くしなければ、SHOPLISTは流通金額を伸ばしづらいので、サイトUIやCRMとかが鍵になっていそうですね。

アパレルEC「アパレルメーカー」のEC売上およびEC化率

2018年版 UNIQLOのEC売上およびEC化率

ユニクロ

UNIQLOについて
運営会社 株式会社 ファーストリテイリング
所在地 山口県山口市佐山 717-1
資本金 102億7,395万円
代表取締役 柳井 正

※参考にした決算資料「2018年8月期上期実績および通期見通し 決算資料」
http://www.fastretailing.com/jp/ir/library/pdf/20180412_results.pdf


※国内のみ

2018年版 ユナイテッドアローズのEC売上およびEC化率

ユナイテッドアローズ

ユナイテッドアローズについて
運営会社 株式会社ユナイテッドアローズ
所在地 東京都港区赤坂8-1-19 日本生命赤坂ビル
資本金 30億30百万円
代表取締役 竹田 光広

※参考にした決算資料「2018年3月期 通期 決算説明会 資料」
http://www.united-arrows.co.jp/uploads/_archives/ir/pdf/kessan_3003.pdf


※単体のみ

2018年版 アダストリアのEC売上およびEC化率

.ST

アダストリアについて
運営会社 株式会社アダストリア
所在地 東京都渋谷区渋谷2丁目21番1号 渋谷ヒカリエ 27F
資本金 2,660百万円
代表取締役 福田 三千男

※参考にした決算資料「2018年2月期 通期 決算説明会 資料」
https://www.adastria.co.jp/pdf/?id=b00000035


※単体のみ

2018年版 TSIホールディングスのEC売上およびEC化率

TSIホールディングスについて
運営会社 株式会社TSIホールディングス
所在地 東京都港区北青山1-2-3 青山ビル
資本金 150億円
代表取締役 齋藤 匡司

※参考にした決算資料「2018年2月期 通期 決算説明会 資料」
https://www.tsi-holdings.com/pdf/180416.pdf


※国内アパレルのみ
※「売上高総利益率」は全体値

2018年版 青山商事のEC売上およびEC化率

青山商事について
運営会社 青山商事株式会社
所在地 広島県福山市王子町1-3-5 青山商事株式会社 本社ビル
資本金 625億4百万円
代表取締役 青山 理

※参考にした決算資料「2018年3月期 中間 決算説明会 資料」
http://www.aoyama-syouji.co.jp/ir/library/presentation/2018/pdf/pr_2018q2.pdf


※ビジネスウェアのみ

下記まとめると
・ZOZOTOWN とユーザー層近いECは、ZOZOの啓蒙のおかげかECか率高い。

・洋服の青山がEC化率1.2%で非常に低い。スーツの相性?

・ユニクロのEC化率からも潜在的な伸びしろが非常に高い。

いわゆるアパレル企業はこのアパレルメーカーですね。今回は資料が手に入る上場企業のみにフォーカスしており、かつオンラインにそこそこ力を入れているところを抜粋しています。それでみても各社ECにおける明暗は分かれていますね。

ZOZOTOWNとユーザー層がかぶるユナイテッドアローズ、アダストリア、TSIはECか率が比較的高い水準ですが、えげつないのが「洋服の青山」で、EC化率1.2%とEC化が全く進んでいないようです。青山商事自体、事業を多角化してはおりますが、以前収益の柱は「ビジネスウェア」で、そのEC化がここまで低いとなるとスーツという商品との相性でしょうか。

ちなみに競合となる「AOKIホールディングス」もかなり苦戦しているようで、決算内でオンライン経由の売上に関してはほとんど言及しておりません

ユニクロはリアルでの販路があれだけ高いはずなのにEC化率が7%というのは、個人的にかなり高いなという印象です。

EC売上に関しては多ブランドを展開しているTSIやアダストリアは、売上規模がもう少し出てこないとブランド別で見た際に、かなり小粒のブランドが多くなりそうなイメージです。それと対象的なのは「ユナイテッドアローズ」で、ブランドは複数持ってはいるものの、EC売上規模もかなり高く、ECか率も非常に高いため、アパレルECにいてユナイテッドアローズはかなり上位ですね。ユニクロに関しては、平均よりも低いEC化率でこの売上規模なので、個人的にも、まだかなり伸びがあると考えられる。

アパレルEC「百貨店」のEC化率

2018年版 丸井グループのEC化率

丸井グループについて
運営会社 株式会社 丸井グループ
所在地 東京都中野区中野4丁目3番2号
資本金 359億20百万円
代表取締役 青井 浩

※参考にした決算資料「2018年3月通期 FACT BOOK&決算説明資料」
http://www.0101maruigroup.co.jp/pdf/settlement/factbook_2018g.pdf
http://www.0101maruigroup.co.jp/pdf/settlement/2018_large_meeting.pdf


※「小売」セグメントのみ
※「売上高総利益率」は「売上収益比率」の割合から概算。

下記まとめると
・百貨店界隈でもマルイは唯一、ECに力を入れている

大手百貨店系の中で唯一、ECに力を入れており、決算でも今後の成長戦略にECに重点を置いている。KDDIとの協業も含めてECには今後も力を入れていきそうで、ユニクロと同規模のEC化率7%は優秀な数字ではないかと思う。EC売上も年間230億円は規模としても高く、今後EC化率10%台に乗せられれば、まだまだ伸びる余地があると考えられる。

アパレルEC「カタログ通販」のEC化率

2018年版 ベルメゾンのEC化率

ベルメゾンについて
運営会社 株式会社 千趣会
所在地 大阪市北区同心1-8-9
資本金 22,304百万円
代表取締役 星野 裕幸

※参考にした決算資料「2017年12月半期 決算短信&決算説明資料」
https://www.senshukai.co.jp/main/top/pdf/73_chukan.pdf
https://www.senshukai.co.jp/main/top/pdf/29_12-4.pdf

※「小売」セグメントのみ

2018年版 ニッセンのEC化率

ニッセンについて
運営会社 株式会社ニッセンホールディングス
所在地 京都市南区西九条院町26番地
資本金 139,226百万円
代表取締役 脇田 珠樹

※参考にした決算資料「2016年12月中間 決算説明資料」
http://ke.kabupro.jp/tsp/20160802/140120160730463357.pdf


※「コマース事業」のみ

下記まとめると
・カタログ通販はほとんどWEB経由にスイッチされてる。

カタログ通販は正確には「アパレルEC」ではないが、カタログ通販大手のベルメゾンが下記のように「40%」ほどが衣料品なので、アパレルECとして一旦カウントしております。


※千趣会 2017年12月半期 決算短信&決算説明資料 抜粋

数年前まではEC通販の流通金額上位を総なめにしていた「カタログ通販」ですが、今は見る影もなく、ニッセンはセブンアイホールディングスの傘下に、ディノス・セシールもフジの傘下に行くなど散々な状況です。そんな中でニッセンが買収される前の最後の決算と千趣会の最新決算からEC化率分析してみました。

結果、他ECと比較にならないほど高いEC化率となっており、これはカタログという販路に強みを持っていたため、ECへの移行が比較的容易だったと想定されるためだと思います。

カタログ通販系で唯一売上が伸びている「ベルーナ」は資料が手に入らなかったが、おそらくEC化率が高いはずなので、なにかしらの戦略の違いで明暗が分かれていると思われる。

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